ホワイトニングや美白をうたった歯みがき粉が数多く市販されています。どれを選べば良いのか迷いますね。そもそも、歯みがき粉を使うだけで歯を白くすることは可能なのでしょうか?
歯が着色する原因、歯を白くするための歯みがき粉の選び方、確実に歯を白くする方法について、予防専門の歯科医師が解説します。
1. 歯が着色する原因・変色する原因
歯の色の変化には、大きく分けて歯の表面への“着色”(外因性のもの)と、歯そのものの色調が変化する“変色”(内因性のもの)があります。
1-1. 外因性(着色)
色の濃い飲食物(コーヒー、紅茶、ウーロン茶、コーラ、カレー、赤ワイン、etc )、 タバコなどの色素が歯面や歯石上に沈着して着色することがあります。茶色、黒色でステインと呼ばれます。また沈着する歯垢(プラーク)や歯石自体の色が、クリーム色、褐色、黒色等で歯に着色したように見えます。
1-2. 内因性(変色)
年齢と共に、象牙質自体が経年的に変色してくることがあります。若い頃より歯の色が変わったと感じたら、この現象が原因かもしれません。
1歯だけ変色している時には次のような原因が考えられます。歯を打撲したり虫歯などで歯の神経(歯髄)が壊死した場合、歯髄を除去する治療をした場合に、歯の内部にある歯髄中の血管からの出血や歯髄由来の成分による象牙質の変色です。
1965〜1975年頃生まれの方で永久歯が生えた時から色が濃かった場合は薬による副作用の可能性があります。テトラサイクリン系の抗生物質を胎児期、授乳期に母親が服用したり、本人が6歳頃までに長期間服用すると、歯質が変色することがあります。
いずれも色調の改善にはホワイトニングが有効です。
1-3. 歯みがき粉が効く着色
飲食物やタバコによる歯の着色は、ステイン除去効果のある歯みがき粉を使用すれば取ることができます。歯みがき粉や歯ブラシの選び方にコツがあります。歯自体の変色については、日本で市販されている歯みがき粉では難しいです。変色は原因が様々、原因によって対処方法も異なるので早めに歯医者に相談することをおすすめします。
2. 歯を白くする効果・ホワイトニング効果がある成分
着色汚れ(ステイン)を歯みがき粉で除去するには、ステインを浮かせる成分がポイントです。
2-1. ステイン除去剤
歯を白くしたい、ステインを落としたいならば、ステイン除去剤が入った歯みがき粉を使用しましょう。化学的にステイン(着色汚れ)を浮かせたり、溶かしたりする成分です。下記のようなものがあります。
- ポリリン酸ナトリウム
- ピロリン酸ナトリウム
- ポリエチレングリコール(PEG)
中でも、ポリエチレングリコール(PEG)は、たばこのヤニを溶解する効果が高いとされています。
2-2. 研磨剤(清掃剤)
物理的に汚れを取るための成分です。研磨剤だけでステインを落とすことは難しいです。ステイン除去剤との併用であれば効果的です。あるいは、ステインが付着しないように予防するには多少の効果があると考えられます。ステイン除去剤が配合されず、研磨剤(清掃剤)が配合されている歯みがき粉でもホワイトニング効果を謳うことはできるようなので、要注意です。研磨剤(清掃剤)としては下記のような成分があります。
- 無水ケイ酸(シリカ)
- 水酸化アルミニウム
- リン酸水素カルシウム
- 炭酸カルシウム
- ゼオライト
2-3. 過酸化水素
過酸化水素は歯科医院で歯を漂白する際に使用する薬剤の1つです。日本で市販されている歯みがき粉に配合されることはありません。海外の歯みがき粉に配合されていることがあります。
3. 美白歯みがき粉 歯医者のおすすめ
3-1. ブリリアントモア(ライオン)
ステイン除去剤(清掃助剤):ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム
清掃剤:無水ケイ酸A
ステインを浮かせる成分が特徴です。
ステイン除去剤は、ピロリン酸ナトリウムとポリリン酸ナトリウムのダブル処方です。
前歯にステイン(着色汚れ、茶渋)が付着してしまってからでも、除去することができます。
歯ブラシとペーストをしっかり当てられる平らな歯面のステインはかなり取れます。
ステインの付着するのを予防するために、週1回程度使用するのも良いです。
もちろん毎日使用しても大丈夫です。
3-2. ルシェロ歯みがきペースト ホワイト(ジーシー)
ステイン除去剤:ポリエチレングリコール(PEG)
清掃剤:炭酸カルシウム(Lime粒子)
ポリエチレングリコールは、たばこのヤニを溶解する作用があるとされています。
炭酸カルシウム(Lime粒子)は非常に細かく歯面にやさしいとのこと。
テレビ番組で紹介されて全国で欠品が相次いだことがありました。
専用の歯ブラシもあります。
断面が菱形になっている毛でステインをしっかり除去できるとのこと。
ステイン除去の目的で他のペーストと組み合わせるという手もあります。
4. 歯を確実に白くするには
歯の着色(ステイン、茶渋、ヤニ)は、ステイン除去剤含有の歯みがき粉を使用して除去することが可能です。特に平らな面はかなり取れますが、歯と歯の間や、硬くなってしまったプラークや歯石はセルフケアで取ることが難しいです。着色を取るには歯医者に行くのが確実です。専門の器具を使用してキレイにしてもらえます。歯のクリーニング、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaningの略) 、プロケア、といった名称の医療サービスを探すと良いでしょう。着色を取ることは治療にあたらないので、基本的には自費診療になります。
歯の着色や変色は原因が様々です。
歯医者に診てもらって原因と対策方法を教えてもらうのが一番。特に変色については歯医者の診断が不可欠です。
歯の変色はクリーニングだけでは改善せず、薬剤を使ったホワイトニングなどの処置が必要になります。
場合によっては、歯を削る治療を勧められることがあるかもしれません。歯を削らずに白くする方法、歯を削る量を少なく白くする方法は色々あり歯医者によって方針も異なります。大掛かりな治療を勧められて納得がいかない場合はセカンドオピニオンを他の医院で求めるのも手です。
健康のことを考えてくれる、予防に精通したかかりつけ医がいると安心ですね。
まとめ
歯の着色(ステイン、茶渋、たばこのヤニ)は、歯みがき粉を使ったセルフケアで、ある程度落としたり、予防したりすることが可能です。歯みがき粉は、ステイン除去剤が含有されていることがポイントです。
歯を確実に白くするには、歯医者でのクリーニング、ホワイトニングなども検討してみましょう。